新しいお寺のかたち

正信偈の解説と現代語訳

正信偈の段落構成

更新日:

お経の途中から音程が変わるけど、意味があるの?
3つの段落から構成されているけれど、音程が変わるところは段落の節目じゃないんだ
まぎらわしいところで音程が変わるんだね

正信偈は3つの段落で構成されている

正信偈は大きく分けて3つの段落に分けられます。

ポイント

帰敬序ききょうじょ】帰命無碍光如来 南無不可思議光( 2行 14文字)
依経段えきょうだん】法蔵菩薩因位時〜難中之難無過斯(42行294文字)
依釈段えしゃくだん】印度西天之論家〜唯可信斯高僧説(76行532文字)

①「帰敬序」とは、親鸞聖人の「阿弥陀様にお任せします」という2行から始まります。

②「依経段」とは、お経を根拠として、阿弥陀仏のお話をされます。

③「依釈段」とは、インド・中国・日本のお坊さん7人の話から阿弥陀様の理解について深めます。

また②の「依経段えきょうだん」について、3つの段落に分けられます。

依釈段の段落分け

弥陀章みだしょう】法蔵菩薩因位時〜必至滅度願成就 (18行126文字)
釈迦章しゃかしょう】如来所以興出世〜応信如来如実言 ( 4行 28文字)
結嘆けったん】 能発一念喜愛心〜難中之難無過斯 (20行140文字)

「弥陀章」とは、お経『仏説無量寿むりょうじゅ経』を根拠に阿弥陀様を説明されます。

「釈迦章」とは、お釈迦様が2500年前にインドにお生まれになった理由を述べられます。

「結」阿弥陀仏のみ教えによって、凡夫がどのようになるのか、その利益りやくを説明されます。

また③の「依釈段えしゃくだん」について、以下のように分けられます。

ポイント

七祖ひちそ総讃そうさん】印度西天之論家〜明如来本誓応機(4行28文字)
龍樹讃りゅうじゅさん】釈迦如来楞伽山〜応報大悲弘誓恩(12行84文字)
天親てんじん讃】天親菩薩論註解〜入生死園示応化(12行84文字)
曇鸞どんらん讃】本師曇鸞梁天子〜諸有衆生皆普化(12行84文字)
道綽どうしゃく讃】道綽決聖道難証〜至安養界証妙果 (8行56文字)
善導ぜんどう讃】善導独明仏正意〜即証法性之常楽 (8行56文字)
源信げんしん讃】源信広開一代教〜大悲無倦常照我 (8行56文字)
源空げんくう讃】本師源空明仏教〜必以信心為能入 (8行56文字)
結嘆けったん】 弘経大士宗師等〜唯可信斯高僧説 (4行28文字)

「七祖総讃」とは、これから述べられる7人の高僧を誉められます。この7人の高僧は阿弥陀様について、その救済について書物を残されています。

「龍樹讃」とは、インドの龍樹菩薩の事で、「有無うむけん」や「難行なんぎょう陸路ろくろ」「易行いぎょう水道すいどう」と述べられました。

難易二道
龍樹菩薩とは、どんな人だったのか

龍樹菩薩について説明します。親鸞聖人が記された「正信偈」の中に登場し、仏教界に空の思想を広めた偉大な方です。 龍樹菩薩って名前だけでも、すごい強そうだよね 強くはないけれど、仏教界では八宗の祖とも言わ ...

続きを見る

「天神讃」とは、インドの天親菩薩の事で、浄土経典に基づいて「一心いっしん」つまり南無阿弥陀仏ひとつで悟りを得ることを述べられました。

宣布一心
天親菩薩とは、どんな人だったのか

天親菩薩について説明します。親鸞聖人が記された「正信偈」の中に登場し、一心を明らかにされた方です。 天親というと、福岡の街を思い浮かべるけど 関係はないよ。天親菩薩の「親」は親鸞聖人の名前の由来になっ ...

続きを見る

「曇鸞讃」とは、中国の曇鸞大師の事で、「不老不死」の仙経せんぎょうを焼き捨て浄土教に帰依きえされたかたです。ただ他力信心のみによって往生していくことを明らかにされました。

自力他力
曇鸞大師とは、どんな人だったのか

曇鸞大師について説明します。親鸞聖人が記された「正信偈」の中に登場し、本願他力の回向を明らかにされた方です。 曇鸞大師って聞くと、どんな大師?って聞こえるけど お坊さんの名前は変わっているからね。お坊 ...

続きを見る

「道綽讃」とは、中国の道綽禅師の事で、時代的に自力の修行をしても駄目なので、阿弥陀仏の功徳が備わった念仏「南無阿弥陀仏」と称えることを勧められた。

聖浄二門
道綽禅師とは、どんな人だったのか

道綽禅師について説明します。親鸞聖人が記された「正信偈」の中に登場し、仏教には時代にあった教えに帰依するべきであると末法思想を広められた方です。 道綽決聖どうなんしょ〜って人でしょ? 空耳の名前だけは ...

続きを見る

「善導讃」とは、中国の善導大師の事で、阿弥陀様の救いの目当ては善悪の凡夫人であり、けっして破られることのない他力の信心によって浄土に往生することを明らかにされた。

古今楷定
善導大師とは、どんな人だったのか

善導大師について説明します。親鸞聖人が記された「正信偈」の中に登場し、お経の解釈について同時代の僧侶の解釈の誤りを指摘し阿弥陀様のお心を広められた方です。 お経では、ここから雰囲気が変わるよね 七高僧 ...

続きを見る

「源信讃」とは、日本の源信僧都そうずの事で、仏教を広めた人で自力では本当の浄土には生まれることができないので、阿弥陀仏の建立されたお浄土に参れるのは、ただ念仏「南無阿弥陀仏」だけだとお示しくださいました。

報化二土
源信和尚とは、どんな人だったのか

源信和尚について説明します。親鸞聖人が記された「正信偈」の中に登場し、報化二土を明らかにし、天台宗の立場でありながら念仏を一番に勧められた方です。 源信の名前を知っていると、どうしても「後海」って聞こ ...

続きを見る

「源空讃」とは、親鸞聖人のお師匠様である法然聖人の事で、著書『選択集せんじゃくしゅう』によって浄土往生を説き広め、本願を疑い、自力はからいを除くことが浄土往生できる方法なのだとお示しくださいました。

選択本願
法然聖人とは、どんな人だったのか

法然聖人(源空上人)について説明します。親鸞聖人が記された「正信偈」の中に登場し、数多くある修行の中から念仏が最も重要で、阿弥陀様の救済の証であることを示し、当時は貴族や国家のためだけの仏教から、町の ...

続きを見る

最期に結嘆けったん」まとめとして、親鸞聖人がこの阿弥陀様の救済に感動し、この高僧方が伝えてこられた浄土真宗のみ教えを信じるように勧められています。

  • B!